AIエージェント時代に向けて「Cloudera Anywhere Cloud」を強化
データ/AIプラットフォーム企業のCloudera株式会社(所在地:東京都中央区、社長執行役員 山賀裕二)は、ニューヨークで開催された「EVOLVE26 New York」で、エンタープライズAIエコシステムの拡大を発表しました。同社は2024年と2025年にもエコシステムを拡充しており、今回はその取り組みをさらに発展させるものです。今回の拡大により、「Cloudera Anywhere Cloud」の機能を強化します。強化の狙いは、適切なガバナンスの下で管理された企業データを継続的に分析し、そこで得た知見をAIによる自律的な業務遂行に結び付ける「AIファクトリー」の基盤を整えることです。
企業のAI活用は、AIに質問して回答を得る段階から、AIエージェントにビジネス上の成果を委ねる段階へ進みつつあります。この流れの中で、アーキテクチャを構成する各レイヤーの重要性が増しています。AIエージェントが適切に機能するためには、ビジネスの文脈を理解するために相互に関連付けられたナレッジ、タスクに適したAIモデル、応答性の高いインターフェース、データの円滑な流れを維持するインフラストラクチャが求められます。Cloudera Anywhere Cloudは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス環境にまたがる一貫した運用モデルによって、これらの機能を統合します。企業はパフォーマンス、コスト、データ主権に関する要件に合わせて、AI環境をより柔軟に構築・運用できるようになります。
Clouderaの最高事業責任者 兼 Applied AI事業部長のアバース・リッキー(Abhas Ricky)氏は、次の競争優位性を決めるのは、企業が自社のナレッジをどれだけ効果的に具体的なアクションへ結び付けられるかだと述べています。同氏によると、Clouderaが目指しているのは、あらゆる企業がAIファクトリーとなり、AIモデルを自由に選びながら自社データの管理・制御を維持し、個々のワークロードのコスト効率を高められる状態です。そして、Cloudera Anywhere Cloudと拡大を続けるエコシステムが、最初のインサイトの獲得から100万回目のAIエージェントによるアクションに至るまで、必要な機能を結び付けていくと説明しています。
ナレッジグラフと音声AIでAIエージェントの実用性を高める
ナレッジのレイヤーを担うのはNeo4jです。同社は、ナレッジグラフとセマンティックコンテキスト(データの意味や関係性を理解するための技術)を提供します。AIエージェントは、企業データに含まれるさまざまな関係性を照会し、顧客、製品、取引、業務プロセスのつながりを理解できるようになります。これをClouderaのガバナンスが確保されたデータ基盤と組み合わせることで、AIエージェントは単なる情報検索にとどまりません。データの関係性を踏まえて推論し、適切な判断に基づいて行動できるようになります。
Neo4jの社長 兼 最高製品責任者(CPO)のSudhir Hasbe氏は、Clouderaとのパートナーシップについて次のように説明しています。企業は、パブリッククラウドとプライベートクラウドに分散するデータを横断して活用できる共通のナレッジ基盤を築き、データ間の関係性とその意味を深く理解できるようになるといいます。さらに、Cloudera Open Data LakehouseとNeo4jのGraph Intelligence Platformを組み合わせることで、膨大なデータセットへのクエリ実行や、これまで見えなかった関係性の発見が可能になると述べています。あらゆるクラウドやオンプレミス環境で、次世代エンタープライズAIを安全に活用できるようになるとしています。
インターフェースの領域では、Cartesiaが加わります。同社は、企業が管理する環境内で稼働する音声AIエージェント向けに、音声生成と音声文字起こしの機能を提供し、AIモデルの選択肢を広げます。Cartesiaによると、同社の音声生成技術は90ミリ秒未満の低遅延を実現しています。また、音声生成モデル「Sonic-3.6」は、発表時点でArtificial Analysisの音声AI評価ランキング2部門で首位を獲得しました。企業は機密性の高い会話データの管理・制御を維持したまま、自然で応答性の高い音声インタラクションを実現できます。
CartesiaのCEO兼共同創業者のKaran Goel(カラン・ゴエル)氏は、音声がAIとのやり取りにおける主要なインターフェースになりつつあると指摘しています。そのうえで、音声AIの恩恵を最も大きく受ける可能性があるのは、データ主権やガバナンスについて最も厳格な要件を課されている企業だと述べています。同氏は、Clouderaとの協業によって、世界でも特に厳しい規制下にある企業や組織が、自社データの完全な管理・制御を維持しながら、リアルタイム音声AIエージェントを大規模に展開できるよう支援するとしています。
特化型AIモデルと高性能インフラで生産性を向上
AIモデルの面では、Clouderaが以前発表したMistralとの戦略的パートナーシップが、データ主権を確保したAI推論を実現する戦略の中核を引き続き担います。Mistralが拡充を進めるAIモデルのポートフォリオには、次のモデルが含まれます。
- 発表済みの1兆500億パラメータを持つ「Large 4」モデル
- 予測モデル「Timestral」
- ロボットなどの実世界でのナビゲーションを支援する「Robostral」
また、NVIDIAとのエンジニアリング分野での協業や、欧州原子核研究機構(CERN)との科学分野でのAI活用の取り組みは、特化型AIの適用領域が対話型AIを超えて広がっていることを示しています。モデルの選択肢が広がれば、企業はワークロードごとに求められる機能、応答速度、計算リソースの要件に合った最適なモデルを選べるようになります。Mistralの最高収益責任者(CRO)のMarjorie Janiewicz(マージョリー・ジャニエヴィッツ)氏は、企業が本番運用に対応したAIエージェントのワークフローへ移行する中で、機密データとインフラストラクチャの管理・制御を維持することは決して妥協できない要件だと述べています。Mistralの最先端AIモデルや製品をClouderaのハイブリッドデータプラットフォームと統合することで、企業はあらゆる環境で包括的なガバナンスを確保しつつ、自社固有のデータを使ったカスタムAIの構築、学習、展開が可能になるとしています。
インフラストラクチャの面では、以前発表したVAST Dataとのパートナーシップが、「GPUスターベーション(GPUのデータ待ち)」の課題に対応します。これは、GPUへのデータ供給が追いつかず、GPUの処理能力を十分に生かせない状態を指します。両社は、高スループットかつ低遅延でGPUアクセラレータにデータを供給することで、この課題の解消を図ります。VASTのストレージアーキテクチャはClouderaのコンテナ化されたデータサービスを支え、Cloudera Anywhere Cloudのさまざまな環境で、データ供給の効率化、GPU使用率の向上、AIや分析ワークロードのパフォーマンス改善に貢献します。VAST Dataの共同創業者のJeff Denworth(ジェフ・デンワース)氏は、多くの企業はAIに必要なデータをすでに持っていると指摘しています。課題は、そのデータの価値を引き出し、AI推論、ファインチューニング、データ分析を継続的に実行できる仕組みを築いて、次世代のインテリジェントアプリケーションの開発につなげることだといいます。同氏は、ClouderaとVASTがデータ、AI、インフラストラクチャを統合し、ハイブリッド環境全体でAIを運用できる単一のプラットフォームとして機能するAIファクトリーの構築を共同で支援していると述べています。
共同ソリューションの拡充で本番導入の簡素化を目指す
これらのパートナーシップにより、AI技術スタック全体で企業が選べる選択肢がさらに広がります。Clouderaは、パートナー企業との共同ソリューションや検証済みのリファレンスアーキテクチャのポートフォリオを拡充していく方針です。これによって、システム統合に伴う負担の軽減、総所有コスト(TCO)の改善、ハイブリッドAIやデータ主権を確保したAIの本番環境への導入・展開の簡素化を目指します。
出典:Cloudera株式会社